卓話 「取手市の現況」:結城 しげる様
今日はお呼び頂きありがとうございます。久保田会長から取手の財政状況を話してくれないかとのことで、9月議会は28年度決算議会でこの間終了しました。お渡しした資料の会計の状況です。取手市は法人税に頼っていたところが多かったのですが、リーマンショック以来かなり落ち込んでしまいました。市税の収入が減少方向にあり、特に法人市民税がピークの時に59.1億円が、昨年は11.6億円まで減っています。個人市民税は横ばいしているものの、かなり厳しいのが現状となっています。 次に歳出ですが、扶助費(生活保護、児童・高齢者福祉など)は10年で約2倍に増えています。これは日本全国どこでもそうだと思いますが、少子高齢化が進み人口が減っている取手の場合は顕著に出てくるということになります。人件費は藤代と合併して職員が増えたのですが、自然退職で減っていって前は1,200人くらいいましたが今は900人くらいです。
次に財政調整基金というグラフがありますが、これは取手市の貯金です。取手はかなりひどくなってしまい県内でワースト1です。財政規模の約1割といわれていて取手の場合はだいたい250億くらいの規模なので25億くらい持っていないといけないのですが、現在22億くらいまで落ち込んでいます。これがなくなってしまうと災害などが起きた時に急なお金が出せなくなるということになりますので、29年度の予算では増やすようにしているところです。次の経常収支比率は私は非常に問題だと思っているのですが、使わなきゃいけないお金が決まっている中で、どれだけできるかということなんですが、取手市はこれも悪い状況になってきていて、財政力指数比較の表では取手市が96.9%で、100%を超えると借金をしないと成り立たないので、だいたい80%台で推移するのが健全だと言われていています。県内どこの地方もかなり厳しい状況ですが、取手市はワースト1に近いです。神栖市県内トップで81.5%、財政力指数は1.33で、1を超えると国が地方に出す交付税というのがなくなります。10年前は取手市も不交付団体でしたがリーマンショック以来、交付税がかなり入ってきている、交付税を入れることによって日本全国どこでも同じような財政状況に持って行くという形をとっていて、取手は0.73と厳しい状況になってきています。法人税が減っているのと、国の政策によって法人市民税という新しい税金を作られてしまって、取手市が新しい企業を取手に呼んできてもそれの法人市民税を国がある程度取ってしまって全国にばらまくよ うなシステムになってしまったということです。
自主財源は増えそうにない。歳出は扶助費をはじめ増加傾向、基金(貯金)はもう減らせないしそもそも少ない、経常収支は政策的に使えるお金は厳しくなっているという状況です。30年度予算としては限られた予算の中で編成して行きたいというようなことを言っていました。 平成29年度予算について、「選ばれるまち」を目指して4つの事業を推薦しています。1.まちの活性化 2.定住化の促進 3.学校教育の充実 4.共同と持続可能な自治体運営を掲げています。 まちの活性化としては桑原地区と取手駅西口の開発に重点を置いて今月から協力していただける事業者を公募しています。 定住化では、シティプロモーションとして「ほどよく絶妙 とりで」という標語を作って取手をアピールしています。それからゆめみ野はURさんと協力して、新規住宅を建てられる方には補助金を出したりして多少効果があるかというところです。
それから学校教育の充実ですが、いじめ問題がとりあげられましたが、図書館と小中学校の図書室を結ぶネットワークに予算が出まして、教育に力をいれていくのが大事なのかなと思っています。 次に取手がはじめようとしている「立地適正化計画」は、2年計画で少子高齢化に対応をするために、駅前の地区と住宅地区をネットワークを組んで分け、駅前にはなるべく都市機能を集中させていくやり方です。国の優遇税制を使うということがあって、取手駅東口・西口に関してもこの計画ができていくことによって取手の未来が見えてくるということがあると思います。駅前の区画整理事業ではA街区(宇田川ビルとみずほ銀行が入っているビル)に39号線という道路を作っていますが、地権者の話がまだまとまっていません。 取手がどうしていくのかということで、私が注目しているのは常総線だと思っています。寺原駅には前田建設が研究施設を計画していますが、片側にしか改札がなく、前田建設が自前で改札口を作る話もあります。それから旧・白山西小学校の校舎を前田建設の社員などの宿泊施設を作りたいという申し出もあり、実現すると学校跡地が宿泊施設は日本で初めてになりますが、近隣住民の方としっかり話をした後でそういう方向に行くと常総線沿線、寺原は良くなりますし、取手は常総線のターミナル駅ということを考えれば常総線の強化は非常に大切だと考えています。
今回は決算の委員長をやったのですが、取手では初めて、決算と予算を繋げる委員長としてやっています。昔は決算というと使っちゃったお金だからしょうがないから賛成してしまえばいいという考え方だったのですが、それよりも決算をどうやって次の予算に活かすのかということを、これは民間では当たり前なんですが自治体ではなかなかやっていなかったのを、今回ようやく取り入れることができて、私は来年の予算の委員長も兼ねることになっています。今の財政状況が厳しいので議会としてしっかり市長はじめ執行部にきちんと言っていくということが求められているので、来年の予算に繋げるように頑張っています。
いじめ問題の話が出ていましたが、今回は補正予算が出まして、これまで4人だったスクールカウンセラーを5人に増やします。それから中学生対象の命の授業の公演会を行います。議会も執行部もいじめ防止の条例づくりというのをはじめています。 取手の臨時議会で補正予算3,700万円(人件費)、取手市が県にお願いするお金です。県とで協働して件のいじめ問題を解決に持っていく予定です。全国的に不名誉になってしまったわけですが、これから巻き返しをしていきたいと思っています。
今、取手議会は頑張っておりまして、早稲田のローカルマニフェスト研究会というので、取手は優秀賞にノミネートされました。11月1日に東京でプレゼンテーションをやって2日に授賞式があります。議会は議会、市の執行部は執行部と二元代表になっていますので、本来はお互い切磋琢磨するという形になっています。議会は今回のいじめ問題をどう挽回していくかということに対して、いいイメージで取手を生み出していければと思っています。議会の改革度は茨城ではトップクラスです。ただ議会を改革しても市の福祉の向上にどうつながるかというのは、執行部ときちっとやって、予算が本当に取手市の発展にどうつながっていくのか、投資をしたらどう取り返していくのか、この感覚は今まで行政はなかった訳なんですけど、ずっとやっていかないとだめだと思います。税金を投入するところは投入して、それからどうバックアップしていくのか。
今、取手の駅前の地価があまりにも安くなりすぎてしまっていて、昔とは比べ物になりません。今みんなで駅前の計画を進めている途中ですが、厳しい状況だという感じはします。 つくばエクスプレスができて、取手駅の乗降客は半減しました。取手駅東口でさえ、改札口が無人になっているという信じられない状況が取手の駅前に起きています。私は4期目ですが、最初から、取手駅は西と東を橋上化する方がいいと思っています(現在、常磐線では取手だけ橋上化されていない)。東口はエスカレーターもエレベーターもありません。
JRと話をしていますが、JRは1億円しか出さないと言います。取手市もいろいろな案を出していますが、10億、15億円のほとんどが市の負担になってきます。取手駅前は西と東を一体化して使うことがお互いにとっていいことだと思っています。
